何かと忙しい12月、皆さんはお正月の準備をいつから始めますか?
気がついたら年末ぎりぎりなんてこともありますよね。
じつは、お正月の準備を始める日があり、一般的には12月13日とされています。
この日は「正月事始め」といい、「煤払い」のほか「松迎え」などの正月の準備にとりかかる日です。
もともとは12月中旬ぐらいから正月準備を始めていましたが、12月13日は婚礼以外、万事に大吉とされる「鬼宿日(きしゅくにち)」にあたり、正月に家々にやってくる「年神様」を迎える準備を始めるのにふさわしい日とされ、「正月事始め」として定着していきました。
※地域によって12月8日の「事始め」から正月準備をするところもあります。
◆「煤払い」は年末大掃除
正月の準備としてまずやることは「煤払い」です。
江戸城で12月13日に煤払いをしていたことから、江戸庶民もそれにならって煤払いに精を出したそうです。
昔の火種は薪や炭だったので、天井や壁についた煤の汚れを落とすことが重要だったのでしょう。
竹竿の先に藁を取り付けた「煤梵天」(すすぼんてん)という道具を使って、高いところの煤を払う習慣もありました。
1年間の汚れを払い隅から隅まできれいにすると、年神様がたくさんのご利益を持って降りてくるといわれているので、煤払いも盛大で賑やかな暮らしの行事のひとつだったようです。
年末の大掃除が、現代の煤払いにあたります。
ただでさえ忙しい年末に、しかも寒いのに大掃除なんてと思われる方も多いでしょう。
しかし、大掃除はけじめの一つ。
大切なお客様を迎える前に家の中をきれいに掃除するのと同様に、お正月というハレの日を迎えるために日常のケガレを落とす、大掃除にはそんな意味もあるのです。
家の中全部は無理でも、ポイントを絞って掃除するということでも良いでしょう。
仏壇や神棚、床の間があれば、まずそこから。
食べることや健康のために大切なキッチンや風呂、トイレなどの水回りはぜひやっておきたいところです。
自分なりに無理のない計画を立てて早めに取り組みたいですね。
◆お正月飾りは「松迎え」から
昔は、門松にする松やおせちを調理するための薪などを、12月13日に採りに行きました。
これを「松迎え」といいます。
煤払いが終わって、清々しく清められた家に門松を飾るのです。
いまは、買ってくることがほとんどです。しめ飾りなどはデザインも豊富。
素敵なしめ飾りで新年を迎えるとめでたさもひとしおかもしれません。
また、お歳暮を12月13日頃から贈るのは、お歳暮が正月用のお供えものだったことの名残りです。
「煤払い」や「松迎え」が済み、年神様やご先祖様を迎える態勢が整う頃に届けるというわけです。
◆お正月準備を仕切った「年男」
昔は、暮れの大掃除、お正月の飾りつけ、年神様への供え物、おせち料理を作るなど、お正月全般を取り仕切るのは「年男」が務めていました。
その年の干支にあたる男女を「年男・年女」と呼びますが、もともとはお正月の行事を取り仕切る人のことを「年男」と呼んだのです。
大掃除をしたり、山に松を取りに行ったり、お正月の準備はけっこう力仕事。
昔は家長が「年男」を務め、次第に長男や奉公人など、若い人が務めるようになりました。
いまでは、掃除、買い物、料理と家事全般にお母さんが大活躍ですが、お正月の準備を中心となって行う人は、時代によっても変化してきました。
誰か一人が頑張るのではなく、家族みんなが協力して、楽しくお正月の準備ができるといいですね。