お正月にお雑煮を食べるわけ&日本各地のお雑煮

お餅の料理は1年中味わえますが、お雑煮となると、やはりお正月のもの。お雑煮は地方色が豊かで、家ごとの味があるのも特徴です。皆さまの家はどんなお雑煮でお正月を祝いますか?


◆お雑煮のルーツ
お雑煮は、もともとは正月だけのものではありませんでした。
室町時代に、武家の本膳料理の前菜として出されたのがはじまり。お酒を飲む前に食べて胃腸などを保護するための煮物で、「保臓(ほうぞう)」と呼ばれ、「宝雑」「烹雑」と書くこともありました。あわびや里芋、山芋、大豆など健康によいものが7種も入っていたそうです。
江戸時代に、餅を入れて雑多なものを煮込む「雑煮」となり、各地にいろいろなお雑煮が生まれました。

◆雑煮で1年のパワーをチャージ
お正月には、年神様に供えて御魂(みたま。年神様の魂)が宿った餅を食べることで、新しい年の生命力である「年魂(としだま)」が与えられると考えられていました。このお餅を食べるための料理が「雑煮」です。お雑煮を食べることで、新しい1年を元気に過ごすためのパワーが得られるというわけです。

◆正月ならでは。「若水」のお雑煮
「若水」とは、元旦に初めて汲む水のことで、「初水」「福水」ともいい、これを飲むと1年の邪気が祓えるといわれています。昔は、朝早く家長が井戸や湧水を汲みに行きました。これを「若水迎え」といいます。この「若水」をまずは年神様に供え、そのあと雑煮を煮たり、お茶を淹れたりするのに使っていました。若水迎えができない現代は、元旦に初めて蛇口から汲んだ水でお雑煮を作るとよいでしょう。

◆「雑煮」のおいしさは多種多様
雑煮は地方色豊かです。また、家ごとに我が家の味があるのも特徴です。
雑煮は大きく分けて関西風と関東風があり、それぞれ特徴があります。

【関西風雑煮は、丸餅&白みそ仕立て】
関西風は、白みそ仕立てで、まったりした甘い味わい。丸餅を焼かないで煮ます。お餅が丸いのは、鏡餅を模しているから。京文化の影響の強いところは、白みそ仕立てに丸餅が基本です。日本海側や山間部が赤みそなのは、土地の食文化が融合したためと考えられています。

【関東風雑煮は、角餅&すまし汁】
関東風は醤油仕立てのすまし汁に角餅を焼いて入れるスタイル。江戸では醤油文化だったことや、武家社会では「味噌をつける」はしくじるという意味で縁起が悪いため、味噌は使いません。角餅なのは、寒冷地でもひび割れたりしないよう、のして切り分けるようになったから。角餅でも焼いて膨らめば丸くなると解釈し、焼くようになりました。

関西風・関東風は、関西地方・関東地方という単純なものではなく、その土地の礎を築いた人が京文化・江戸文化どちらの影響を受けているかが反映されています。全国的にすまし汁が多いのは、参勤交代で地方に江戸文化が伝わったためだと考えられています。

◆わが家の味を楽しみましょう!
雑煮はとても郷土色豊かな料理で、材料や作り方も千差万別で多彩です。
例えば・・・
【島根県】あずきを煮たおしるこのような雑煮
【広島県】沿岸部では牡蠣を入れる。「賀来」とされる縁起物
【香川県】あんころ餅を入れた白みそ仕立て
【新潟県】鮭とイクラの親子が入る
【宮城県】ハゼの焼き干しでだしをとり、焼ハゼをのせる
【福井県】赤みそ仕立てのかぶら雑煮
【岩手県】クルミだれをつけて食べる  などがあります。

地域性ばかりでなく、家によっても雑煮は違います。それは、祖先や親の出身地、結婚した相手の出身地、好みなどが融合して我が家の雑煮になっているからです。あらためて、我が家の雑煮を見直してみるのも面白いかもしれませんね。

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