スマホやPCの普及で簡単に連絡を取れる今日、年賀状を出さない人が増えているそうです。確かにSNSに比べると年賀状は手間も費用もかかります。でも、正月の郵便受けに年賀状がないのは、やはり寂しく感じるもの。出すのは手間でも、受け取るとうれしいのが年賀状です。年賀状も正月の風物詩の一つ、せっかく送るなら相手に真心が届くような年賀状にしたいですね。
◆年賀状の始まりは
古来、日本では、新しい年を迎えるにあたり、目上の人に年始の挨拶をする、いわゆる‟年始回り”の習慣がありました。遠く離れて訪問できない場合は、書状を使いの者に届けさせたのが年賀状の起源と考えられ、公家社会において平安時代ごろから行われるようになったようです。
やがて武家社会で年賀に参上するしきたりができると、飛脚の発達とともに年賀の書状がふえていきました。江戸時代には商人の間でも年始回りをする習慣ができ、さらに江戸市中を配達する町飛脚などが現れると、武士階級だけでなく庶民も年賀の書状を送り合うようになりました。
そして明治時代に郵便制度ができて郵便はがきが登場すると、年賀状の習慣が急速に広がっていきました。それまでの書状に比べ、賀詞だけでも成立するはがきの年賀状は大変手軽で、国民の間に定着していったのです。すると年賀状があまりの人気で配達が遅れるようになったため、年末に集めて年始に配達する「年賀郵便特別取扱」が明治32年に開始され、昭和24年にお年玉付き郵便はがきも発行されて現在に至っています。
◆年賀状は相手に応じて工夫を
みなさんは年賀状をどなたに送りますか?相手に応じて言葉使いや服装を気遣うように、年賀状も相手によって使い分けましょう。
会社の上司や取引先、お得意様などの仕事関係や目上の人に出す場合は、風格のある伝統柄や、和柄デザインなど、くだけすぎない年賀状に。印刷された年賀状でも、感謝の気持ちや抱負など、ひとこと手書きでコメントを入れることで丁寧な印象に。
友達などプライベートで親しい間柄には、自分の個性や好みを生かして楽しい年賀状に。写真やイラストもアプリを使って簡単にレイアウトできるようになりました。また、印刷なしの手書き・手作りの年賀状も、今の時代、かえってインパクトがあるかも。シールやスタンプなどの年賀状作成アイテムもたくさん市販されていますから、ぜひ活用してオリジナルな年賀状を作ってみるのも◎。
親戚などに出す年賀状は、きちんとしているけど堅苦しくなり過ぎないデザインで。健康を気遣い、こちらの近況なども付け加えるといいですね。家族みんなが映っている写真も喜ばれるかもしれません。
いずれも印刷した年賀状であれば、短くてもよいので手書きのコメントを書き添えるようにしましょう。そのひと手間でより気持ちが伝わる年賀状となります。
◆賀詞の選び方
年賀状には、必ず賀詞を書きます。賀詞とは、年賀状に限らず、祝いの意を表す言葉。
タイプによってふさわしい賀詞を選びましょう。
・仕事関係や目上の人などの場合
「謹賀新年」のような4文字の賀詞か、「謹んで新春のご祝詞を申し上げます」などを使いましょう。もともと、賀詞の基本は「謹賀新年」「恭賀新年」「敬頌新禧」などの4文字からなるもの。
謹=謹んで。相手を尊ぶ
恭=うやうやしく。礼儀正しく丁寧
敬=尊んで礼をつくす
頌=ほめたたえる
といった相手の方への敬意と丁寧な気持ちを表す語が入ることで、礼儀にかなった挨拶の敬語になります。
・友達など親しい間柄の場合
賀詞は、相手を選ばず使える「明けましておめでとうございます」「Happy New Year」のほか、目上の方にはそぐわない「寿」「福」のような1文字の賀詞、「賀正」「迎春」のような2文字の賀詞も使えます。
敬語や丁寧語を基本にしつつ、自分の言葉を綴りましょう。コメントを吹きだしにするなど、楽しくアレンジするのもいいですね。
・堅苦しいのもくだけすぎるのもよくない場合
印刷文は一般的な文言にとどめておき、手書きのコメントでフォローするようにします。
賀詞は、相手を選ばず使える「明けましておめでとうございます」「Happy New Year」や、目上の方向けを用いると無難です。
よくありがちなのが、「迎春」「謹賀新年」などの短い賀詞と「明けましておめでとうございます」などの文章の賀詞を重複して使ってしまうこと。賀詞を使ったら、添え書き(「今年もよろしく」などの文)には賀詞を書きません。
◆年賀状のタイミング
年賀状は、本来1月1日(元旦)に届けたいもの。遅くても1月7日の松の内までに届くように出しましょう。関西など地域によっては松の内が1月15日までの所もあります。
なるべく多くの年賀状を元旦に届けるために、郵便局では例年12月15日から年賀状の受付が始まります。
年賀状をいただいたのに、こちらからはお送りしていないときは、すぐにこちらからも年賀状を送りましょう。松の内を過ぎてしまったら、年賀状ではなく「寒中見舞い」として送ります。
・喪中はがきが届いたら
喪中はがきが届いたら、年賀状を送るのは控えます。挨拶状を送りたい場合は、松の内を過ぎてから「寒中見舞い」を送ります。近年は「喪中見舞い」としてすぐにお悔やみを伝えることも多いようです。